マンション管理のスペシャリストとして数多くの集合住宅を統括してきた佐藤氏に、集合住宅特有の水道代が高い原因について話を伺いました。佐藤氏によれば、戸建てとは異なる「集合住宅ならではの死角」がいくつも存在すると言います。その筆頭に挙げられたのが、定借メーターの不具合と共用部からの干渉です。多くのマンションでは親メーターで一括受水し、各住戸に子メーターを設置していますが、この計量システムにわずかな誤差が生じたり、あるいは給湯システムの循環ポンプが劣化して常に水を動かし続けたりすることが、各家庭の水道代を押し上げる要因となることがあります。また、佐藤氏は「空き室の存在」が隣接する住戸に影響を与える可能性についても指摘しました。隣室が長期間空き室で配管内の水が滞留している場合、共有管の圧力バランスが崩れ、居住している部屋の蛇口を開けた瞬間に過度な水圧がかかり、結果として水の使用量が増えてしまうという現象です。さらに、管理会社の立場から見ると、入居者の「水道代が高い原因」の多くは、実はベランダや共用廊下の清掃、あるいは植物への水やりといった、個人の専有部以外の場所での無意識な水の使用にある場合も多いそうです。佐藤氏はこう助言します。「水道代が急に上がったとき、多くの人は室内の蛇口を疑いますが、実はベランダに設置された洗濯機用の蛇口や、外部の散水栓が半開きになっていないかを確認すべきです。また、最近の分譲マンションは高い気密性を誇りますが、それがゆえに排水管の負圧トラブルが発生し、それを解消するために自動で水が流れる仕組みが備わっていることもあります。自分が住んでいる建物の給排水システムの仕様を正確に把握している住人は驚くほど少ないのが現状です」。管理会社と住人が情報を共有し、建物全体の水の使用実態を透明化することが、個々の家庭の水道代を適正化するための近道であると佐藤氏は強調します。住居という大きなシステムの中で、自分の蛇口がどこに繋がっており、どのように課金されているのかを問い直すことが、水道代が高い原因を解明する鍵となるのです。