憧れのマイホームとして中古の戸建て住宅やマンションを検討する際、内装の綺麗さや最新のキッチン設備に目を奪われるのは自然なことですが、プロの視点から言えば、最も入念にチェックすべきはトイレ配管図です。壁や床の中に隠された配管の状態は、目視だけで判断することが不可能であり、購入後に最も大きなトラブルや想定外の出費を招く原因となるからです。まず、配管図を確認する際に注目してほしいのが、排水の方式です。特にマンションの場合は、床下で配管を転がす床排水なのか、壁の裏に配管を流す壁排水なのかによって、リフォームの自由度が大きく異なります。壁排水の場合、トイレの設置位置を変更することが構造的に難しいことが多く、無理に移動させようとすると床を高く上げなければならないなどの制約が生じます。戸建て住宅の場合でも、配管図から排水管のルートを辿り、それが建物の構造体である基礎や梁をどのように貫通しているかを確認することが重要です。もし図面上で不自然に曲がりくねった配管経路が描かれていれば、それは詰まりやすいリスクを孕んでいるサインかもしれません。また、配管の材質も重要なチェックポイントです。昭和時代に建てられた古い住宅では、排水管に鋳鉄管が使われていることがあり、これらは内部に錆が発生して管径が狭まり、頻繁に詰まりを引き起こすことがあります。配管図に材質の記載があれば、将来的に全面引き直しが必要になる時期を予測することが可能です。さらに、給水配管の系統も無視できません。トイレだけでなく家全体の水回りがどのように繋がっているかを知ることで、将来的にキッチンや洗面所をリノベーションする際の計画が立てやすくなります。配管図には各所の管径が記されていますが、十分な太さが確保されていないと、複数の場所で同時に水を使った際にトイレの流れが悪くなるなどのストレスが生じます。購入前に仲介業者を通じて配管図の写しを請求し、可能であればリフォーム業者や建築士に同席してもらって診断を受けるのが賢明です。図面が存在しないというケースも稀にありますが、その場合は後のメンテナンスで大きなリスクを背負うことになるため、慎重な判断が求められます。トイレ配管図は、建物の健康診断書のようなものです。その内容を正しく理解し、納得した上で購入を決めることが、長く安心して住み続けられる家選びの第一歩となります。
中古住宅購入時に確認したいトイレ配管図の注意点