賃貸物件にお住まいの方にとって、ウォシュレットの有無は快適な生活を送る上で重要な要素です。しかし、既存のトイレにウォシュレットがついていない場合、後付けを検討する際に「取り付けできない」という壁に直面することが少なくありません。賃貸物件ならではの特殊な事情が、ウォシュレットの設置を困難にしているのです。 最も大きな壁となるのは、管理会社や大家さんからの許可です。賃貸物件は借り物であり、設備を無断で変更することは賃貸契約違反にあたります。ウォシュレットもトイレ設備の一部とみなされるため、必ず事前に許可を取る必要があります。無許可で取り付け、万が一水漏れなどのトラブルが発生した場合、損害賠償を請求される可能性があります。 また、退去時には元の便座に戻す「原状回復」を求められることが多く、取り外した便座を大切に保管しておく必要があります。 次に、物件の設備や構造も取り付けの可否に影響します。例えば、築年数の古い賃貸物件では、トイレ室内に電源コンセントがないケースが多々あります。ウォシュレットは電気製品であるため、電源がなければ使用できません。コンセントの増設には電気工事が必要となり、これも管理会社の許可なく行うことはできません。さらに、トイレ空間が狭い場合や、バス・トイレが同室のユニットバスの場合も、取り付けが物理的に困難となることがあります。特にユニットバスでは湿気がこもりやすく、感電や漏電のリスクからコンセントの引き込みができないことが多いです。 これらの事情を考えると、賃貸物件でウォシュレットを後付けしたい場合、まずは管理会社や大家さんに相談し、許可を得ることが第一歩です。 その上で、物件の設備状況を確認し、可能であれば自分で取り付け可能なタイプ(電源不要の水圧式など)を検討するか、専門業者に相談して安全かつ確実に設置してもらうことが重要です。
賃貸物件のウォシュレット事情と取り付けの壁